いろはにほへと
「はい、じゃー、とりあえず流れだけやってみよう!中条はとりあえず台詞はないけど、適当に会話して、自然な感じで笑ったりしてみて。」
へぁ?!
なにそれ。どういうこと!?わかんない!!!
完全に、頭の中ホワイトアウト。
因みに、役名が一応決まっていて、阿立桂馬は、ヒロ。
私は、メイとなっている。
「はい、5、4、………」
無言のカウントダウン。
私は必死で、プリントにシャーペンを走らせた。
それこそ、机にしがみつかんばかりに。
「カット!」
―え、まだ何も始まってないのに…
びっくりして顔を上げると。
「中条!もっと力抜いて、ラフな感じ出して!放課後ってことを念頭に置いて!机にそんなにがっつくな!」
私か!!!
「すっ、すいませんっ!!!」
慌てて謝る。
「じゃ、もう一度―」
この繰り返しを、10回くらいやった。
いや、もっとか。
それでも。
どうしても、力が抜けない。
「いい加減にしてくれる?俺いつまでここで待ってなきゃいけない訳?」
案の定、阿立桂馬切れる。
「あー、、、じゃ、とりあえず、もうそのまま桂馬の部分先にしよう!」
察したスタッフから提案があり、最初の部分はとりあえず後回しとなった。