いろはにほへと
「はい、5、4、…」
『何してたの?』
ヒロが言いながら、メイの手元を覗き込む。
ここから、楽しい会話―
『…………何それ。あんた数式ばっかり書いて、なんのつもりなの?』
の、筈が。
にこにこと笑いながら、ヒロの言っている言葉には棘がざくざく付いている。
『そんな内容じゃ、何の為に残ってた人かわかんないじゃん。勉強なら家帰ってからやれよ。補習かっつーの。んな頭が悪い女好きになんかならねぇし。』
ピキ、と固まる私。
『つーかさ、どこ出?なんでルーチェのPVにあんたみたいなド素人が出てくんの?俺の相手役にさ。どんな手使ったらそうなるわけ。』
天使のような笑顔。
口から出てくる言葉はさぞかし穢れが無く、温かいものばかりなんだろうなと、誰もが騙されそうな。
『なんか、言いなよ。これじゃ会話が成立しないんだけど。』
因みに、声は消されてしまうので、マイクはない。