いろはにほへと
「中条~、高校生活送ったことあんだろー!?なんなんだその全体的なぎくしゃく感は!桂馬とは幼馴染み!仲が良いって設定なんだから、もう少しくっついて!じゃないと不自然だ!固いし!」



一旦カットしたら、ここぞとばかりに出てくる監督のダメ出し。



「は、、はいっ…すみません…」



通ったことあるっていうか…現役なのに。



でも、女子高。


男子への免疫力は、まるっきり、というか、トモハル以外はついていない。


その上、このお方、とてつもなく怖い。




「それから、桂馬が『まだ残ってたの?』って話しかけられたら、顔を上げて頷くだけじゃなくて、『あれ、ヒロもまだ居たの?』くらいな調子が良い。」




「え、え、あ、はいっ…」



はい、とは言いつつも、頭の中はひどくこんがらがっていて、さらに照明の熱さや視線の真っ只中、苦手な男子、色々最悪だ。


泣きたい。


帰りたい。


穴があったら入りたい。



なんで、私こんな大変なこと受けたんだろう!?


後悔先に立たず。


過去に戻って、昨日の自分を止めに行きたい。



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