いろはにほへと
まさか、私達の出て行く様子が。
「あらら、連れ去られちゃったねぇ、お姫様。」
ちょうど、トモハル達の居た場所から見える位置で。
「いいの?遥」
「……何が。」
「ぶっ…、追えば良いじゃん。そんな恐い顔してる位ならさ」
「………」
キィ君とこんな会話してたとか。
「心配なんでしょ。あの男に何されるかわかったもんじゃないよ?」
「連れてきたのはお前の責任でしょ。最後まで面倒見なきゃダメじゃん。」
メンバーが口々にそんなことを言って。
「保護者か、俺は。」
トモハルが自嘲気味に笑ったこととか。
ガン!!
ましてや、あの温厚で明るいトモハルが。
「おーおー、荒んでるねぇ。」
傍にあったゴミ箱を蹴飛ばしたりしてたとかなんて。
これっぽっちも。
知らなかったし、思いにも過ぎらなかった。
勿論、予想もしてなかった。