いろはにほへと
通じる気持ち
裏口から出た桂馬は、待たせてあったらしいセダンの車に乗り込んで、迷い中の私の腕をがっつり掴んで引っ張り入れた。
「お疲れ、桂馬…ってあれ、誰その子。」
「同級生」
「ふーん…?つーか良いの?マネージャーの喜一ちゃん、今頃お前の事捜してんじゃないの?」
「いいのいいの。あんな真正面出待ちされてるっつーの。面倒臭いし。幾つか出口がある中でも、ここが一番穴場なんだよね。」
「さすが、売れっ子は違いますねぇ」
親しげな会話に、当たり前だけど入っていけない私は。
―ど、同級生?!
桂馬の情報に驚きを隠せないでいた。
ていうことは、、受験生!
「見えない…」
「―は?」
しまった。
うっかり呟いた言葉を、隣に座るグラサン…もとい、桂馬に拾われた。
「いや、なんでも…」
「言え、今すぐ言え。でないとドア開けて落とすぞ。」
「ひっ…」