いろはにほへと
完全な脅し文句に、頬が引き攣った。




「おいおい、桂馬。やめてくれよ、俺の愛車で死亡者は出したくない。」



自分で言って自分で笑っちゃってますけど、私は笑えません。


だって、お隣の方の視線が、冷たい、それはそれはブリザードでも吹いちゃいそうな感じで、私の頭を貫通しているので。




「………ど、同級生だって…言うので…」



「………」



「……み、、見えないなって…」




制服着ていると、やはり幾らか若くは見える。


けれど、こうして私服を着て、腕組みをして、眉間に皺を寄せて、睨みつけている姿は。




「大学…卒業する位なのかな、と…」




「………」




「勝手に…思ってました…すいません…」




とうとう桂馬の無言の圧力に耐え切れず、思わず視線をずらしてしまった。



何しろ前髪という必須アイテムが消えたので、ダイレクトに相手の感情が入ってきてしまうのだ。
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