いろはにほへと

「まず、どれ位恋愛についてわかっているかどうかを訊くから、思ってる通りに答えてみろ。」



「え?!…っと、、は、はい。」



素っ頓狂な声を出してしまい、周囲の人がちらちらと振り返ってこちらを見るので、私は肩を縮こませた。



―ビギナー過ぎるのがバレちゃう。



恋愛について、なんて、私が。


この、私が、一体何を言えようか。




「まず、初恋はいつだ」



腕組みをしながら桂馬が訊ねるので、私は小さくなったまま。




「―きょ、、去年です」



馬鹿正直に答えてしまった。



「そうか、去年…はぁ?!去年だぁ?」



桂馬の信じられないものでも見るかのような反応に、益々恐縮してしまう。




「まさかっ…その相手が―?」




桂馬はもう私の答えなんか求めておらず、むしろ完璧にバレているようだった。



「成程。だからあんたは感情移入がイマイチなのか。」



そして勝手に納得。

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