いろはにほへと
虹が架かる日
チチチ…


どこかで、鳥のさえずりが聞こえる。





かつての姫子さんの部屋には、化粧台と姿見以外何も置いていない。



その真ん中に敷いた布団の中、私はうっすらと目を開けた。





毎朝きちんと同時刻に目覚める身体は、一日の始まりを教えてくれている。






障子の向こうは、もう既に明るい。




枕元に置いた時計を確認すると、きっかり五時だった。




むっくりと起き上がり、いそいそと布団を畳んだ。






今日も天気が良さそうだ。




洗濯日和。



布団を干してもいい。



二層式の洗濯機は汚れがよく落ちるため、かなり好きだ。





冴えない群青色のTシャツ、下は黒いジーパンに着替えて洗面所に向かおう。



と、したその時。






「うわっ、ひなの!!ひなのーーー!!!!!」





現実を突きつけるような、悲鳴が屋敷に響き渡った。
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