いろはにほへと
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地下駐車場で車から降りると、直ぐ近くに早川さんのセダンが停まっていて、ライトが合図のようにピカッと光る。


スタジオの駐車場はゲートで警備員が厳重に管理しているので、一般の人は無闇に入ることができない。



斯く言う私も、一般人にすらなりきれない地下人だけれど。



桂馬達に最後の挨拶を、と振り返ろうとした直前。



「ひなの。」



見つめていた先の、セダンから、降りてきた人物に気を取られた。


赤茶色の、長めの髪。

肩にはかからないけど、少し跳ねている。



「ト…モ、ハル…」



少ししか離れていないのに、やけに懐かしく感じるのは。


この一週間、いやそれより前からずっと、頭にこびりついて離れなかったからだ。




駐車場の灯は、顔色を悪くさせる青白いライト。


「っ…」


挨拶も何もなくなって、思わず駆け寄ろうと利き足に重心をかけたー




「ね。」



「!?」



願う方向とは逆にぐいと引っ張られて、私の頭では何が起こっているのか理解出来なくなる。












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