いろはにほへと
ガラッ!
「ひなのってば!!!呼んでるじゃん!!」
「!」
え。
今、ガラッて、障子が開いた音がした?
「聞いてる!?」
しかも声が近い。
すぐ後ろで聞こえる。
なんで、この部屋に私が居るって知ってるんだろう…
あぁもういい。
色々考えるの面倒だ。
考えたって、トモハルは常識人じゃない。
その労力が無駄に終わる。
「朝から、何なんですか…」
観念して、振り返ると。
「!!!!!!」
振り返った私は掌で顔を覆う。
「ひなのー!!」
「こないでくださいっ!!!」
近寄ろうとするトモハルを、空いている手で制する。
「ふ、ふ、服!!!!服着てください!!!!」
赤茶けた髪の毛が黒味がかり、ぽたぽたと水滴が垂れて床に染みを作っていく。
「えぇー、それどころじゃねぇんだよー!!シャワー浴びてたらムカデが足に纏わりついたんだよー!!」
パンツ一丁の、水の滴る男は、軽く半泣きで叫んだ。