いろはにほへと
フローライトは、ひなのを想って書いた曲だった。
それだけじゃなく、自分のひた隠しに隠してきた想いは、かなり膨らんできてしまっていた。
でもそれに気付いて、自覚してしまったら、終わりだ。
どうすることも出来ない。
苦しむのは目に見えてる。
なのに。どうしても、PVに使うモデルが、ひなのと余りに違い過ぎる。
最初は、仕方がないかと割り切っていたものの、実際に現場を見させてもらいに行ったのが間違いだった。
派手で、謙虚さが少しもなく、目立つことばかりを考えてきたような女が、イメージと合うわけがない。
それを話したら、撮影が凍結して、役者の会社とも大喧嘩になり、まこちゃんが謝り倒したりして、偉く大変だった。
多分、社長も大変だった。
本来なら、許されることではない。
だけど、俺の意見を汲んでもらえたのは、前にもPVを作ってくれていた監督だったことが大きいと思う。
ただ、まこちゃんとは、またしても衝突した。