いろはにほへと
『光るって…』





考え込む格好になったまこちゃんに、俺は手を振る。




『いや、冗談だから。マジで考えないで。俺もふざけないで真面目にちゃんと考えるから…』



それなのに、まこちゃんは、真剣な表情で俺を見た。


『わかった。それで行こう。新人発掘ってことで』


『え…』


まずい展開になったなと、言葉を失った。



『とにかく問題は、遥がごねてることだから。』


『待って。待って、まこちゃん。俺、この際、女は後ろ姿だけでも良いかなって思ってるんだよね。』


『いーや。もう、決めた。俺、これから会いに行ってくる。場所だって覚えてる。』


さっきとは、形勢が逆になり、今度は俺がまこちゃんを説得する羽目になる。



『いやいや、あの子は、テレビに出るタイプの子じゃないんだ。OKしてくれる訳がない。』



多分、まこちゃんは相当切羽詰まってたんだと思う。

そして、俺にもブチ切れてたんだと思う。


『俺の首がかかってんだ』



捻た笑みで、そう言い残すと、颯爽と部屋を出て行ってしまった。
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