いろはにほへと
会いたい。
会いたくない。
会ったら、自分がどうなってしまうか、不安で仕方なくて。
撮影が終わる今日まで、我慢して、なんとか自分を持ち直させた。
まこちゃんとひなのの為に、打ち上げをしてあげようと言い出したのは孝佑。
俺も俺なりに、最後だって事を覚悟していて。
去り際は、綺麗にしたいと考えていた。
あと少し。
仕事の合間にも、何をする時でも、数えていたひなのとのさよなら迄の時間。
下手に動くこともできず、無駄に時が過ぎていく気がしていた。
この時期に、雑誌に載る訳にもいかない。
積み重ねてきたひなのとの、淡い関係を壊すこともしたくない。
慎重に、慎重に。
ごく細い綱を渡っているように。
静かに、けれど、着実に、終わりにさせよう。
そう決意した、筈だったんだ。