いろはにほへと

大人だけど。




俺だって、普通の男で。


道ですれ違う人達と同じように、好きだって想いを、難しく抱えていて。




簡単じゃないだろ。


恋心を消すのって。



許されるなら。


声を大にして言いたいんだよ。


歯痒いんだよ。



手に入らない。


そんなことは、知ってる。


自分が、物分かりの良いオトナ演じてただけなのも自覚してる。



だから、このままでいてくれれば。


自分を制せたのに。




よりによって、なんで、俺の前で。


他の奴に、盗られるの。




檻から出てしまった想いは暴れて、華奢な彼女に向けられる。



後先なんて、考えられず。


ただ、夢中になって。



感情をぶつけた。

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