いろはにほへと
何故だかそれがすごく寂しくて、視界がぼやけ始めて。
今日は散々な日だと、何もかもが情けなくて嫌になる。
狭い階段ひとつひとつを下りていくのを、ひどく億劫に感じた。
あっという間に自動ドアを抜けて、外に出れば、生温い潮の香りを含んだ風に包まれる。
ここがどこだかは分からないが、幸い駅が道路を渡った先に見え、帰ることはできそうだ、と思った。
しかし。
鞄等貴重品は、スタジオにあった。と言うか記憶が正しければ、早川さんが持って行ってくれていた。
つまり無一文。
ー澤田さん、、お金貸してくれるでしょうか。
奢ってもらって、怒らせた上に、お金貸してくださいとか言ったらー
その先は、恐ろしくて、想像も出来ない。
だが、そうしないと路頭に迷うことになる。
どうせ嫌われるならこの際ー