いろはにほへと
難しいことは増えてくばかり
「どうだった?」
孝祐が訊ねると、まこちゃんが今しがた耳に当てていたスマホを見つめ、何度も頷く。
「無事だった。。彼女から自宅に連絡があったらしい。友達の家に泊まることになっていたみたいだとお母さんが教えてくれた。」
「良かったぁぁぁぁぁ!!良かったなぁ、ええ?おい!」
事務所のソファに腰掛ける俺の背中を、孝祐は叩いてくる。
まこちゃんも、他の皆も、明らかにほっとした表情を見せていた。
ー良かった…
俺も例外ではない。
一時はどうなることかと焦った。
あれから。
とりあえず、外に出て探そうかと思ったのだが、何しろ荷物を全てまこちゃんに預けっぱなしだったひなの。
貸与されていた連絡用携帯も、無意味だ。
彼女にとっても馴染みの薄い場所で、土地勘もないわけで。手掛かりもなく闇雲に走ってみたものの、奇跡なんて起こるはずもなく。
途方に暮れてる所で、まこちゃんから、「一旦帰ってこい」と呼び出しがかかった。
ーまぁ。
ー仮に見つけた所で、なんて声を掛ければ良いのか、思いつかなかっただろうけど。