いろはにほへと

俺の言わんとすることが見えてきたのか、孝祐は黙り込む。


「今、俺がすることは、ルーチェのハルがすること、なんだよ。」


恋だの愛だのっていう感情は非常に厄介で、ブレーキをかけなければどんどん加速していってしまう。


「だからさ、」



ジャリ、と足元で砂を踏んだような音がする。



「こういう終わりで良かったのかも。俺が最低って思われたまま、さよならで。」


さっきからずっとそう自分に言い聞かせていた。

本当に最低な事したんだし。
生半可に隣にいたらいけない。


自分にも彼女にも、影響が及ぶ。それも悪いものが。



「ー遥はそれでいいのかよ」


孝祐が、じれったそうな顔して、問うけれど。



「何言ってんの」


笑っちゃうよな。



「選択肢なんか、最初からなかったんだ。」



諦める、以外に。

そんなこと。

よくわかってた筈なのに。
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