いろはにほへと
カタタン…タタン…
満員電車一歩手前の混み具合。
本当は窓際に寄りたかったけれど、乗り降りする人の邪魔になるから、中腹まで行って、吊り革につかまった。
ブラインドが下ろされた窓。風景が何も見えず、残念な気持ちになる。
必然的に思考は彷徨い、澤田の家に泊まった日まで、遡っていた。
ー澤田さん…
彼女には感謝してもしきれない。
連れて行ってもらった澤田の家はマンションの3階で、両親はどちらも不在だった。共働きで帰りはいつも午前様らしい。代わりに中学生の妹が居て、やはり塾に通っていて、私達より少し前に帰宅したばかりだった。泣き腫らした私の顔を見て、ぎょっとしたようだったけれど、挨拶を済ませると気を利かせて、直ぐ自室に入ってくれた。
澤田の部屋で、私が、今までのことを洗いざらい話しても、彼女は怒らず、そして疑わなかった。
いや、やっぱり怒った。
私じゃなくて、トモハルに対して。
満員電車一歩手前の混み具合。
本当は窓際に寄りたかったけれど、乗り降りする人の邪魔になるから、中腹まで行って、吊り革につかまった。
ブラインドが下ろされた窓。風景が何も見えず、残念な気持ちになる。
必然的に思考は彷徨い、澤田の家に泊まった日まで、遡っていた。
ー澤田さん…
彼女には感謝してもしきれない。
連れて行ってもらった澤田の家はマンションの3階で、両親はどちらも不在だった。共働きで帰りはいつも午前様らしい。代わりに中学生の妹が居て、やはり塾に通っていて、私達より少し前に帰宅したばかりだった。泣き腫らした私の顔を見て、ぎょっとしたようだったけれど、挨拶を済ませると気を利かせて、直ぐ自室に入ってくれた。
澤田の部屋で、私が、今までのことを洗いざらい話しても、彼女は怒らず、そして疑わなかった。
いや、やっぱり怒った。
私じゃなくて、トモハルに対して。