いろはにほへと
「…お高いんでしょうね…」
はぁ、と思い溜め息をつきながら、再びそれをハンカチに包む。
「中条さん、それ、お守りじゃないんだから、そんな風に持ってたら意味ないでしょ。」
澤田が呆れたように言うけれど、だってどうしたらいいのか分からない。
「ちょっと見てもいい?」
頷いて渡せば、彼女は慣れた手つきで操作し始めた。
「まだ何も設定されてない。こんなの初心者じゃわからないじゃないの。」
ぶつくさぶつくさ言いながらも、澤田は設定とやらをどんどんしていってくれているようで、時折沈黙が続いた。
私はその様子をぼうっと見つめつつ、気が重かった。
自分の気持ちが何処へ行こうとしているのか、自分自身把握できていなかった。