いろはにほへと
一日が、長く感じられた。


授業が耳に入ってこないのは、ここ最近珍しいことではない。

成績を落とすわけにはいかない、大事な時。

今日にはもう、踏ん切りをつけないといけないと、覚悟は決めてある。


両親に、辛い思いをさせたくない。


恋とは、一筋縄ではいかない、複雑な感情なんだと痛いほど知った。

でもきっと、永遠に続くものでもない。


そうでなければ、世界中の人は、皆苦しくて死んでしまうだろう。

だけど、皆、ちゃんと生きてる。


だからきっと、私の痛みも。


桂馬が言ってくれたように、いつか無くなる時がきっと来る。

考える時間が減れば、必然的に消えていく。


治る、病気だ。



この時の私は、トモハルを諦めようと心に決めかけていてーいやそれが当たり前のことなのだと確信していた。

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