いろはにほへと
先述の通り、前髪は以前のように生え揃っていない。
だからもしかしたらこの写真に映っている時の私と私は同一人物だとはわからないのかもしれない。
かといって、ここで違うと言っても、だとすればどうして先程カメラマンは私を追ってきたのか、という話になる。
でも、そうですと認めたなら、トモハルと早川さんを裏切ることになるのかもしれない。
何て答えれば正解なのか、分からずに、震える唇は開かない。
「ただの確認です。私達には分かっているんです。貴女だと。でもそう、念の為に、必要なんです。本人の確認が。」
私の感情が手に取るように分かるらしい社長は、安心させるように笑いかける。
ーそ、そういうものなんですね…
「あ、は…え…はい。」
戸惑い過ぎてもう気持ち悪くなってきた私は、訳も分からずとにかく頷く。