いろはにほへと
足がすくむ様な感覚が私を襲う。

頭の中がごちゃごちゃでー本当にごちゃごちゃで、どこからどう手を付けていいのか分からなくて、縋るような思いで、反射的にトモハルを振り返ってしまった。


するとトモハルも、私を見ていて、その表情が苦渋に満ちていてーそれはきっとお互いにそうで。

さっきみたいに振り払われない視線は、絡み、惑い、落胆する。


涙がこみ上げる時のように、切なさが喉まで上り、吐き出せずに胸に戻って痛んだ。


そして、今度は私から、トモハルへ向けた視線を絶った。


やっぱり、自分とトモハルは、交わらない。

交われば、壊してしまう。


それは、個々のレベルではなく、数え切れない人数が関わるもの。


なんで。

どうして。


出逢ってしまったんだろう。


こんな事になるくらいなら、知らなければ良かった。


知らなければ離れていても何にも思わないでいられたのに。


知ってしまったから、こんなにも辛くて。


そして、何かを傷付ける。




これは、『普通の恋愛』ではない。
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