いろはにほへと
「中条さん!」
「ひな!」
私が顔を見せると、廊下で待ってくれていた三人が、一斉に駆け寄ってきた。
「…どうだった?なんて言われた?」
澤田が心配そうに私の手を取って、はっとした顔をする。
「中条さん…手、すごく冷たい。顔色も青い……」
そう言われて初めて、寒い、と感じた。
「………あいつら、勝手なこと言ってたろ。」
桂馬が、静かに怒りをに滲ませながら、訊ねるように私を見るが、私は他人のような三人に囲まれた場所から帰って来れたことの安心感からか、上手く声が出なかった。
「私も…今どういうスキャンダルなのか、DYLKがこの事をどう扱おうとしているのかは、桂馬くんから教えてもらったけど…本人は…ハルはこのことについて何て言ったの?」
澤田も難しい顔をして、それは怒っているようにも、悲しんでいるようにも見える。