いろはにほへと

ーDYLKがこのことをどう扱うか……




桂馬が何もかも知っているということを聞いて、ここに到着したばかりの時に、彼が怒鳴っていた意味を悟った。



ーこのことについてトモハルは何て言ってたか……


ないまぜになっていた思考に、はっきりと蘇るフレーズ。



「……な、んの…」



駄目だ。




「何の……感情、も…」



もう止められない。



ー『何の感情もここには無かった』




「無い、って…っ」



身体はこんなに冷え切っているのに、どうやって涙は熱を持つんだろう。


どうして自分は泣いているんだろう。


「んだよ、それ…」


「ひどい…」



全身に緊張して入っていた力は泣くことで消えて、その場にくずおれる。

それを、澤田が抱きとめて、桂馬が怒りを更に露わにした。


< 409 / 647 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop