いろはにほへと
ーDYLKがこのことをどう扱うか……
桂馬が何もかも知っているということを聞いて、ここに到着したばかりの時に、彼が怒鳴っていた意味を悟った。
ーこのことについてトモハルは何て言ってたか……
ないまぜになっていた思考に、はっきりと蘇るフレーズ。
「……な、んの…」
駄目だ。
「何の……感情、も…」
もう止められない。
ー『何の感情もここには無かった』
「無い、って…っ」
身体はこんなに冷え切っているのに、どうやって涙は熱を持つんだろう。
どうして自分は泣いているんだろう。
「んだよ、それ…」
「ひどい…」
全身に緊張して入っていた力は泣くことで消えて、その場にくずおれる。
それを、澤田が抱きとめて、桂馬が怒りを更に露わにした。