いろはにほへと
父が、「行動」ではなく、「感情」を論点にしているのは、どうしてなのかはわからない。
けれど、私にとっても、それが一番引っかかって、胸を引っ掻く部分だった。
ーなんででしょう。
あまりに長く埋め尽くすような沈黙に、意識が若干遠のいていっているような、耳の奥がくぐもっているような感覚になり、そんな中で、私は、自問自答している。
ほんの数時間前、いや昨日までは、トモハルは、私の事なんて何とも思っていないと決めつけて、諦める計画を立てていた私は。
なんで今、それを蒸し返して考えているのだろう。
トモハルが、何も思っていないと言ってくれれば。
その口からそう言ってくれたら。
自分は、きっぱりと諦められると思うからだろうか。
私はトモハルに、何を期待しているのか、自分で把握できなかった。