いろはにほへと
「俺が教えてあげる。」
「は!?」
トモハルは掴んだ掌を動かして、私のそれにぎゅっと絡めた。
「ここに住まわせてもらってるお礼に、俺がひなのに恋を教えてあげるよ。」
「~~~~!!!!!」
虹を背中に背負って。
にっこりと微笑んで。
「おっおっおっ、、、お断りします!!!!」
どんなに掌を開こうとしても、解いてくれない逃亡者、トモハル。
「だーめ。もう決めたー!!」
虹が掛かる日に、本気とも冗談ともつかないことを言い出す問題児。
私にとっては至極迷惑。
降って湧いた居候との共同生活、二日目にして心臓は破裂寸前。
前髪を無くし、知りたくも無い感情のレッスンを強制的に押し付けられる。
思い描いた夏休みとは全く違う。
もう帰った方がマシかもしれないと、思うけど。
なんだか、少し、ドキドキしている、この頃。