いろはにほへと
「別に…トランプ楽しんでるみたいだったので誘わなかっただけです。」
何度か躊躇ったものの、なんとなく言いだせなかった。
それに―。
「貴方、逃亡者でしたよね?」
外出なんて、していいのだろうか。
「だいじょーぶ!!変装するから」
張本人は、自信有り気にVサインして、変装しに奥へ引っ込む。
私は玄関で待ちぼうけを食らいながら、見えにくい眼鏡を掛けたり外したりしていた。
―恋を教えるとか言ってたけど。
今の所、トモハルに大した変化はない。
やっぱりただ単にからかわれたのだろう。
そう思うと、気が楽になった。