いろはにほへと
病んだ唄
世間は、思いの外、甘くなかった。
「ってか、あんな形(なり)で、なんであの二人の話題に出たの?」
「つーか、ブス?」
「座敷童子かよ」
「どういう接点があるの?」
「よく来れたよね。」
「ガセだったんでしょ。ありえないし。」
「じゃなんで学校来なかったの?」
「いやいや、ナイナイ」
もうすぐHRが始まる時間。
担任の福井先生が来る前の教室は、ヒソヒソ声と、そうでもない声で占領されていた。
私は誰よりも先に席に着いていたのだけれど、誰よりも、場違いな空気が漂っている。
「中条さん、気にしないんだよ。」
席が離れてしまっている澤田が、予鈴が鳴る前に肩を叩いていってくれたのが、遠い過去のようだ。