いろはにほへと
昼休みになると、澤田が来てくれた。
「さわー!!なんでそんなのと仲良くするの?こっちおいでよ。」
キラキラ女子の澤田は、案の定他のキラキラ女子達に呼ばれるが、ガン無視で、私の怪我を心配してくれる。
「中条さん…痛いでしょ。保健室行こう?」
「は、いえ…あの…大丈夫です。絆創膏は持っていますし、血は、出てませんから…」
教室に居ると、視線が突き刺さるように注がれて、居た堪れない気分になる。
「中庭に行こうか。」
お弁当の包みを解かないまま、じっとしている私を見て、察したらしい澤田が、立ち上がる。
「…澤田さん…私と今一緒にいない方が…いい、と思います。」
できるだけ小さな声で、そう言うが、澤田は眉間に不機嫌そうに皺を寄せた。
「何言ってんの?ほら、早く立って。行くよ。」
「え、うわ。」
いつも通りの澤田節で、ついに立ち上がらされた私。
「さわー、やめなってぇ。釣り合ってないって、そのヒト。」
「同じに見られたら、さわも良くないと思うけど。」
腕を掴まれたまま、どんどん前を行く澤田が悪く言われるのが辛くて、前を向けない。
ー釣り合ってないー
そんなことは前から知ってたし、思っていた。
だけど、他人から言われるのとでは偉い違いだ。
そして、このままでは、澤田も嫌がらせを受けてしまう。