いろはにほへと
数十分後。
いや小一時間。
初体験のシャワー、シャンプー、カット、ブロー。
何より、苦しいのは、鏡。
どこを向いても鏡。
自分と目を合わせないようにするのに必死だった。
「ほら、完成。」
やがて、否が応でも、見なくてはいけない最終段階になって、芝上さんは私に手鏡を持たせた。
「あれ、あはは…ソファで寝ちゃってる真千子ちゃんを起こしてくるね。」
そう言って、キラボーイが背を向けた瞬間に、そそくさと鏡を見てみた。
スカスカする、襟足。
自分じゃ、ないみたい。
今迄の、どの自分とも違う。
最初の自分とも、トモハルと一緒にいた自分とも、そして、メイとも違う。
「似合うじゃん!!!」
「でしょ、今年流行りのショートボブ。」
後ろから、突然沸き起こった澤田の歓声に、びくり、肩を震わせるチキンなハートは変わっちゃいないけど。
そして、こんな、周囲からの視線をちくちくどこからも感じるような髪型に慣れる日が来るなんて、信じられないけど。
「…ありがとうございます。」
とりあえず、ショートボブ自分。ウェルカム。
これから、どうぞ、よろしくお願いします。
いや小一時間。
初体験のシャワー、シャンプー、カット、ブロー。
何より、苦しいのは、鏡。
どこを向いても鏡。
自分と目を合わせないようにするのに必死だった。
「ほら、完成。」
やがて、否が応でも、見なくてはいけない最終段階になって、芝上さんは私に手鏡を持たせた。
「あれ、あはは…ソファで寝ちゃってる真千子ちゃんを起こしてくるね。」
そう言って、キラボーイが背を向けた瞬間に、そそくさと鏡を見てみた。
スカスカする、襟足。
自分じゃ、ないみたい。
今迄の、どの自分とも違う。
最初の自分とも、トモハルと一緒にいた自分とも、そして、メイとも違う。
「似合うじゃん!!!」
「でしょ、今年流行りのショートボブ。」
後ろから、突然沸き起こった澤田の歓声に、びくり、肩を震わせるチキンなハートは変わっちゃいないけど。
そして、こんな、周囲からの視線をちくちくどこからも感じるような髪型に慣れる日が来るなんて、信じられないけど。
「…ありがとうございます。」
とりあえず、ショートボブ自分。ウェルカム。
これから、どうぞ、よろしくお願いします。