いろはにほへと
「こ、子供扱いしないでくださいっ」




薄ら感じて居たことを言い当てられたこともあって、かかかっと顔が熱くなった。




ぶんぶん手を振って、放そうとするけど、トモハルは放してくれない。





手に汗をかくのが恥ずかしい。




自分よりずっと大きなその手に、自分のそれが包(くる)まれるのが恥ずかしい。





「~♪」




私の反応なんてお構いなしに、トモハルは鼻唄を歌っている。




この人は、こういうことに、慣れている。



恋を教えてあげるというくらいだから、沢山そういうことも経験してきたのだろう。




私とは、違う人種だ。



私はこういうことに慣れていない。



人と接することが苦手だし、何より落ち着かない。



こんな風に接される記憶がない。






だから。




トモハルにからかわれている様な気がして、釈然としない。






「あ、ここ、曲がります。。」





川のせせらぎの音が、もうここから聞こえている。




だけど、私の心はちっとも穏やかにならない。



ざわざわ、してる。
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