いろはにほへと
蒔いた種は毒の実を結ぶ
秋が来れば、どうしようもない胸の痛みが、自分の内をのたうちまわって全身がだるくなる。
冬が来れば、外の空気と同じように、心臓も冷たくなって、何かをあれこれ考えるのが嫌になる。
春が来れば、淡い期待が色づいて、何かが起こりそうな予感に、勝手に胸が踊り、近づいてくる次の季節を待ち侘びる。
夏が来れば、あの奇跡がまた起こってくれないかと願う毎日になり、叶わない日々に苛立つようになる。
俺の春夏秋冬は、春から始まらない。
あの夏から。
夏が最初の季節になって、巡る。
表面には出てこないけど、身体は正直にそのサイクルを覚えているらしく。
その前までどんなだったかは、忘れてしまったらしい。