いろはにほへと





「ハル?どうした?」


今はー、今は秋と冬の間。


「ハル?」


つまり、一番最低な季節。


周囲の困惑等、あってないような、その位の麻痺した感覚で。

これが生中継だってことも、どうでもいいような、そんな自棄な思考状態。


孝祐達がどうしてそんな顔をして、俺を見ているのかは分かってる。


どうして、熱を持ったの
ただの冷たい石ころだったのに


その最初のフレーズから、声が出てこない。

唄が歌えない。

なのに、俺の頭の中は、至って冷静に、物事を客観的に見ていた。

冷や汗すら出てこない。


ヤバい状況だって事は、もう何年もいる業界だから分かってるけど。

それ以上に、自分がこうなることを理解していたような。

ああ、やっぱりかって。

俺はもう。

俺はもうーーーー



末期なんだよ。



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