いろはにほへと
この川は、知る人ぞ知る結構な穴場ポジションで、いつも人気がない。





「あっちぃー」




川草が高く生い茂り、しかも暗い辺りに、トモハルが怪しげ変装グッズを外す。




手は繋いだまま。





「・・・・」






無言で解こうとしてみるが、やっぱり放してくれなかった。





「ねぇ、真っ暗だけど、、、蛍どこ?」





何故かひそひそとトモハルが耳打ちする。






「もう少し、あっちの方に行くと、結構見れると思いますよ。」





川沿いには、どこかの誰かが日曜大工でこしらえたような、背もたれのないベンチがひとつある。



そこに座って見る光景が、実は絶景(言い過ぎかもしれないが)ポジションなのだ。



「あっちって言われても、真っ暗でわかんねぇ。」




土地勘のないトモハルは当然のことを呟くので、仕方なく今度は私がトモハルをひっぱる格好になった。
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