いろはにほへと
私の顔は、どうなんだろう。



暗い。

地味。




それから、えっと。





夏休み前に、駅でぶつかった男の人に言われた言葉を思い出す。






―『ブス』





ブスって、、、褒め言葉だったっけ。




ん、あれ。違うな。



かわくないってことか。



きれいじゃないってことか。



そういえば、クラスの子たちはキラキラ、ぴかぴかしてる。




私は。



光っては、いないな。



だって、目立たないんだから、そうだよね。






別に、それで、良いよね。




落ち着くし。





・・・・・・・・あれ。




なんだ、これ。





なんか、引っかかる。




訳のわからない感情に、私は首を傾げる。





えっと、私、どうしたいんだろう。



何をしたいんだろう。







「ひなの?」





「え…」





呼ばれる声に隣を向けば、トモハルが不思議そうにこちらを見ていた。





「どうしたの?蛍、見ないの?」




「あ、いえっ、見ます!」





慌てて顔を前に向けると―。





「!!!!!」




左頬に、音を立てて、何かが当たった。


< 53 / 647 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop