いろはにほへと
トモハルという居候のおかげで、食材は結構消費されていく。
特に、彼はお米が好きな人間らしく、やたらご飯を食べるのだ。
「あら?!ひなのちゃん、髪切ったの?」
突然止まったバンバン叩きに、青柳さんを見ると、真正面からあらまぁとびっくりしている。
「あ、えっと…」
「あら?!その眼鏡…?確か姫ちゃんのじゃなかったかしら?なぁに?ひなのちゃん、遠視なの?」
「あ、いや、その…」
色々深い訳があって、中々簡単に説明できるものでもなく、しどろもどろになる。
「やっぱりひなのちゃんは、目が見えてた方がかわいいわねぇ!」
かわいい…。
なんとなくその言葉を拾ってしまう自分に釈然としないけど。
―トモハルも、そういう風に思ってくれているだろうか。
そこまで考えた所ではっとする。
「いやいやいや!!!かわいくないですから!!!!」
何、考えてるんだろう自分。
今、何て思った?
有り得ない有り得ない。
かわいくなくて上等だ。
「そんなことないわよ!!!あっははー!ひなのちゃんはおもしろいわねぇ!」
再度、背中をバンバンと叩かれた。