いろはにほへと
「本気か?」
一通り話を終えた、俺達を見て、まこちゃんは問い掛ける。
誰もカップに口を付けていない。
俺はすっかり冷め切った珈琲に一度視線を落としてから、まこちゃんの目をしっかり捉えた。
「俺のエゴなら、これは、選ばなかった道なんだ。選んじゃいけないと思う。」
果たしてそれが正しいのかどうか、分からない。
分からないけどー
「けど、ルーチェがルーチェである為には、これしかないって、俺らも考えてる。」
孝祐が後を引き継いでくれ、話の途中で参加した宗司も頷いた。
「ハルがハルでいれないなら、俺等もやりたくないんだよ。意義がないから。ハルがいなきゃ、意味がない。ハルが思い描く唄を、俺は作りたい。それを見たい。」
それから、政宗が口を開いた。
「つまり、今入ってるハコじゃ、窮屈だってコト。」
そして、俺がまた言葉を繋ぐ。
「唄を好きになって、歌いたいんだ。昔みたいに。」
戦友としてじゃなく。
敵としてじゃなく。
友として。
誰かを傷つける為じゃなく。
利益の為じゃなく。
純粋に、好きだから。
その理由で、唄を歌いたい。