いろはにほへと
自分が言い出したことだけれど、戸惑って、沈黙していると。
《俺が、行きたいんだよ。ダメなの?》
結局桂馬に気を遣わせてしまう羽目になって、自己嫌悪。
「…いえ、嬉しいです。でも、無理しないでください。。」
《無理してないし。何時くらいから?》
「いつもの夕飯の時間と同じかと思うので、7時位からになるかと…」
《了解。仕事がんばるね。》
通話を終えた後。
「だっ、はぁーーーー…」
激しく後悔。
なんで誘っちゃったのでしょうか、と。
スマホを握りしめたまま、ラグに突っ伏した。
最近、自分の気持ちが分からない。
どうしたいのかが、分からない。
そんな状況の中で、トモハルから届いたチケット。
束の間、ぼんやりした後で、のそ、と起き上がって、ラグの下に隠したチケットにそっと手を伸ばした瞬間。
「わぁ!」
スマホがまた鳴り出して、手を引っ込める。
そして、画面を確認して、慌てて出た私は。
「はいっ受かりました!」
開口一番、そう言った。