いろはにほへと
ブランドのコンセプトを紹介する、ちょっとしたショーの後。
「こっちにも視線くださーい!」
「笑って!」
「ちょっとシリアスな表情も一枚!」
フラッシュの嵐を浴びながら、笑顔を見せ、視線を渡す。
それはまるで、操り人形のようだと、頭の隅で思った。
自分の意思とは、違うんだから。
いつも、我慢なんだ。
だから、自分の為にーひなの為にする我慢は、心地良い位だった。
「今回、専属モデルに、と声が掛かった時、どう思いました?」
「それは、世界的にも有名なブランドの兄弟ブランドですし、個人的にも何着も持ってるので、嬉しかったですね。」
撮影の後は、ひとしきりマスコミからの質問に応じる。