いろはにほへと
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「良く来たわね!はい!これ、お米!」




青柳さんの家に行くと、にこにこと笑って、多過ぎる程のお米を渡してくれた。




「ひなのちゃん、イナゴの佃煮はまだある?」




「あ、はい。大丈夫です。美味しくいただいてます。」






私はイナゴの佃煮が嫌いではないが、トモハルが食べない。沢山もらっても勿体無い。仕方なくお断りする。



お米も毎年屋敷に届けておいてくれる分で足りるので、二度目をこうして取りに来たのも初めてだった。



もう、青柳さんには頭が上がらない。





「そろそろ、藤の花が咲くかしら?」



「え―?」



青柳さんに言われて、自分がうっかりしていたことに気付く。




「あ、、、手入れはしたんですけど…この頃様子をみてやれてなくて、正確なことは言えないんですけど、多分咲くと思います。」





はっきりできない私に、青柳さんが頬に手をあてて首を傾げた。




「あら、珍しい。毎年蕾が付く頃訊かなくても教えてくれるのに。ひなのちゃん、今年宿題沢山あるの?」





「いえ、、ちょっとバタバタしてまして。。明日明るくなったら見てみます。」





曖昧に返事しながら、お礼を伝え、お辞儀してから青柳さん宅を後にした。






―今年は変な来客が居るから。






姫子さんの屋敷に構ってあげることができていない。



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