いろはにほへと


会場内は異様な熱気に包まれていた。


「すいません、すいません…」

人の波に押され、中々進まないが、なんとか隙間を縫って、指定された席に辿り着く。

目の前には大きなステージが広がっていて、LUCEの文字と大きな画像が後方に取り付けられていて、手前にはマイクやドラムがセットされている。それだけで、ドキドキした。


そしてー。

急に会場が真っ暗になり、大きな画面に、カウントダウンが10秒前から映し出される。


「10!」

「9!」



観客達も、大きな声で、一斉にカウントダウンを始め、早くも自分はキャパオーバーな感じになってくる。


でも、祈るように両手を合わせて、じっとステージ上を見つめた。


「5!」

「4!」

「3!」

「2!」

「1!」

「0!」


よく聴いた、イントロが流れ始め、ドカーンと突き抜けるような大歓声が響き渡る。


輝きを意味するLUCEという名前通りの、白いライトがステージを照らし、ルーチェのメンバーが姿を現した。


鳥肌が、立った。


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