いろはにほへと
《47(ヨンナナ)》
ドキドキ、する。
それは、トモハルのファンとして、新曲への高揚感のドキドキでもある。
会場と一体化するような。
もうひとつは、トモハルが目の前にいる事へのドキドキ。
気付いて欲しいという思いと。
気付かないで欲しいような気持ち。
もう、どうしていいのか、わからない。
心地良いような、悪いような。
心許ない感情。
寄り掛かる場所はどこにもないから。
祈るように、両手の指をぎゅっと組ませて、ステージを見る。
先程発表されたばかりの新曲『47』は、ギターひとつだけの、静かなイントロで始まった。
ーえ、もう…
それだけで温かいものが頬を幾筋も伝っていくような。
それくらい心が震える、切ない旋律だった。