いろはにほへと
「申し訳ないことをしてしまいましたね…」




姫子さんの大事にしていた藤や庭を見ていないなんて。



しょんぼりした気持ちで、家の近くまで行くと。




「?」




門の前に、人影が見えた。





―誰だろう?




老眼鏡ではよく見えない。





近くに寄って目を凝らすと、人影がこっちを振り返った。






「あ、ここのお宅の方ですか?」





ふわふわとしたボブの、くりくりしたぱっちり二重の、女の人。



か、かわいい。





「?あの?」



「あ、はい。そうです。」




お人形のような、あまりのかわいさに、少しの間見惚れてしまった。


花のような、良い匂いもする。




「良かった!インターホンがなくて、呼び鈴も鳴らないので、困っていたんです。」





私は、とりあえず抱えた米袋を下ろし、その人に訊ねる。





「えっと、、何か御用でしょうか。」





この田舎に、こんな美人で洗練された服装の人は居ない。



ましてや、私は知らない。



不思議そうな顔をする私に。









「トモハル、お邪魔していませんか?」




彼女はにこりと微笑んた。
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