いろはにほへと

どれほどあなたのことが好きでも。
こんなにあなたのことを想っていても。

誰でも、言えない言葉がある。
誰でも、ひた隠しにしている想いがある。

だけど。

もしも。
許されるなら。

全て、曝け出して。

あなたに言いたい。

好きと言いたい。


後先考えずに。

それができたらいいのに。


47は、そんな唄だった。


ー47って…


聴き入りながらも、曲名の意味を考えた。

どこかで聞いた数字だと、思った時。

間奏に入り、照明がパッと消える。

青い光が、蛍のように自由奔放に会場内を飛び回り、メロディーが流れるだけの空間。
観客から漏れるのは、感嘆の声と、私と同じように静かな涙だけ。

幻想的な、世界。

ルーチェの、音だけが耳によく響き。
ステージの上すら、よく見えない。


それでも、まだ、見たくて。
見えないのは分かっていても、トモハルの姿を探して。

必死で目を凝らしたーーー



途端。


誰かに、手を引かれた。


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