いろはにほへと
「・・・・・・・」





同じように淡い光で、ぼんやりと人間のシルエットが映し出されている。





私はそっちの方を無言でちら、と見てから、玄関に向かった。





「ひ、ひなの!無視、しないでよー」




マサキの木の陰からトモハルが立ち上がり追いかけてくるが、振り返らなかった。





「居ないって言ってくれて、ありがとうー!!」





玄関を上がった所で、後ろから掛かった感謝の声に、ピタリと足を止める。





「・・・・・」




「え?!」








ドサリ、重たかったお米を下に置いて、ゆらりとトモハルに視線を向けると、トモハルもその場に停止した。








「な、何…」





「あの人、誰ですか」




トモハルがあわわと狼狽たえる仕草をするけど。




余計に。




ムカムカ、する。




いや、同時になんか、悲しい気も、する。




なんだろう、この感覚は。




今までに味わったことがない位、不愉快だった。





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