いろはにほへと
「誰って…」
まさかそんなこと訊かれるなんて思って居なかった様子のトモハルはうーん、と考える仕草をする。
私はその様子をじっと見つめた。
「…恋人、、ですか?」
「!!」
トモハルの驚いたような顔を見て、確信する。
やっぱり。
途端に、さっきまでそこに居た女の人の容姿が思い出された。
短いけど、丸みのある、女の子らしい明るい色の髪の毛。
華奢な身体。
透けそうな肌。
フリルのついた露出の多い服。
自分とは、全くチガウ。
庭仕事で焼けた手。
目立たない暗い風貌。
冴えない服。
最初から、気付いていたのに。
トモハルと私は。
吸う空気すら、違う人種だと。