いろはにほへと
「え、ど…」
唐突にも聞こえる言葉に、当然戸惑うトモハルから、顔をプイっと逸らし、まるで独り言のように続けた。
「最初、、お会いした時にもお伝えしたと思うのですが、小学校の頃から、私、地味で暗くて目立たないってよく言われるんです。。友達の必要性も感じたことないですし、一人でいるのが好きです。」
雨の音だけが、静かに流れていく。
「ブスって言われても、気付かない位、どうでもいいと思っていました。私はそうやって生きていくんだし、段々慣れてくると、不思議と自分を表わす単語も心地よいものに聞こえるようになりました。私はそれでよかったんです。」
私の目にはもう雨は映っておらず、自分の足と、無意識に握り締めた掌を見つめた。
「誰かと、関わると、自分はそういう人間だって、決められちゃうから。そういう人間なんだって思っていれば、これ以上は傷つかなくて済むから。だから、一人が楽でした。」
キラキラしたように見える同世代の子たちが、何を考えているのかとか。
どんな風に毎日を過ごしているのか、とか。
あの輪の中に一生懸命入ろうとしなくていい。
入ればきっと苦しくなる。
だから、一人で居ればいい。
なのに。
「貴方と居ると、苦しいです。」