いろはにほへと
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8月もあと10日を残す頃。



よく、晴れた日。


空には雲がひとつもない。



その下で。



藤の花が綺麗に狂い咲く。







「おー、きれー。すげぇ。」




その様子を見て、トモハルが素直に歓声を上げたので、クスリと笑った。




「!?!!!ひなの!?」



すると、トモハルが驚いたように私を振り返る。




「今、今、もしかして、笑った?」



「…いえ、笑ってません。」



「いや、笑ったでしょ!?」



「いいえ。」



「・・・・」






縁側に腰掛けて、老後の夫婦のように、お茶を啜りながら、BGMにラジオが掛かる。





こんな風に、誰かと姫子さんの屋敷で過ごすなんて、去年の私に想像できただろうか。





《さぁ!この夏一番聴いた曲!まだまだ聴きたい曲!リクエスト募集していましたけれども!やっぱりこれが多かった!》





今日もラジオのお姉さんのテンションは高い。



これだけのテンションを維持するのはとても大変だと思う。






《もう、皆さん、わかりますよね?!》





そこに。




「ごめんください」




突然低く響いた、男の人の声。




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