いろはにほへと
「勝手なことしやがって!」
そこまで言った所で、男は私に気付く。
「あ、失礼致しました。勝手にお邪魔してしまい…、私、こういうものでございます。」
直ぐに近寄って来て、胸ポケットから出した名刺を差し出す。
「DYLK(ディルク)音楽事務所…早川誠…?」
「はい!私、ルーチェのマネージャーをさせていただいております。この度はハルが勝手なことして、大変ご迷惑をお掛けしました!申し訳ございません!!!」
そう言うと男はがばっと頭を下げた。
隣では、トモハルが欠伸を噛み殺している。
「え?」
どういうことか、わからない。
音楽事務所?
マネージャー?
ルーチェ?
ハル??
「ひなのは、そーいうの、わかんねぇから。」
「!!!」
面倒そうにトモハルが言うと、男は驚いたように今度は仰け反った。