いろはにほへと
―『なんで、この人は会えない人を、ずっと待ってるのでしょうか?どうしたって会えないんだから、仕方ないのに。』
―『誰かを好きになったことがないの?』
―『必要なくないよ』
いつか、虹のかかる日に、トモハルとした会話が思い出される。
トモハルは見えるものは何も残していかなかったけれど。
確実に忘れ物をしていった。
―『恋を教えてあげるよ』
教えて、知ったとしたら、どうすればいいんだろう。
それに気付いたのは、今更、だけれど。
本当に、もう手が届かない。
トモハルが居なくなった今も。
胸の痛みは消えない。